長期縦走の食事考 そして晴れた
ところで、みなさんはテント泊ではどんな食事をしているのでしょうか。いつか蝶ネクタイで大きなしゃもじ持ってテント回りたいです。嘘です。自炊3泊以上ともなると携帯性や栄養も気になるところです。バリエーション少なく同じものを食べ続けるなら効率よく食材をパッキングできるね、というところから基本の主食を朝食はオートミール、昼食なしで行動食はグラノーラと柿の種、夕食はアルファ米と決めました。しかし続けるうちに問題が出てきました。
ツチノコお腹壊すんですよね。下界ではむしろ便秘気味なのに、山に行くと2日目にはお腹がギュルギュル鳴き始めるのです。とりあえずオートミールをパンに変えたところましになったので、確定ではないけどこやつが原因なのかなと思います。クラッシュタイプのオートミールはお湯をかけるだけですぐ食べられるし、(粉のスープとかみそ汁や乾燥食材などまぜて雑炊にする)軽くて栄養もあってコスパも良いのですが。
てなわけで話は脱線しましたが、縦走4日目雲ノ平山荘の朝、小屋で購入した菓子パンで朝食を済ませ雨が弱まるのを待って8時過ぎに山荘をあとにする。
昨日は高台のはずなのにどこからあんなに水が来るのか不思議なほどの状態だったが、木道下の水も昨日より穏やかになり、穏やかに歩けるようになった。晴れている時に来たかったが、あんなに荒れた(写真撮っていられなかったほど)の雲ノ平も中々見れないだろうし、ガスっていてもキレイなところでした。
祖父岳に到着するころガスが晴れ、初めて雲ノ平と山々の展望を目にする。エエとこやないと涙。
岩苔乗越から鷲羽・ワリモ岳を経て三俣山荘へ。
あれが伊藤新道だね~!などと昨日とは打って変わってはしゃぐ中年。三俣小屋の前で休憩をさせてもらっていると、そこへ登山道整備に出かけるスタッフさんとそれに続くNHKの取材の方々。聞けば年末に三俣と雲ノ平山荘の特番を予定しているとのこと。名著「黒部の山賊」の著者としても知られる伊藤さん、ご子息である兄弟がそれぞれの小屋を経営しているのですね。(知らなかった)
2021年末にNHK BSで放送するって
三俣蓮華岳、丸山を経て来た時と違う中道ルートから双六山荘へ。前回の高天原山行と併せて、この辺りのルートを結構踏破できました。15時過ぎに小屋着、前回川になったエリアは避けてテントを張る。我々は同じ間違いを繰り返さないのだ。日が暮れる前に湿った靴やカッパなど大急ぎで干す。日没まで少しだけ日に当てられた。カレーと味噌汁の夕食を済ませ、19時には寝袋に入る。雨が降りませんように
いよいよ西鎌尾根からの槍ヶ岳
5日目は3時起床、満天の星でした。少し降ったけど雨漏りなし!明るくなるのを待ち、5時テント撤収し、出発。樅沢(もみさわ)岳山頂手前で日が昇る。
昨日とは打って変わって良い天気で涙。左手に硫黄尾根が見えるのですが、風化が進んでいるのかもろそうな赤い岩肌は生き物を寄せ付けない不気味さで、薄ら怖い。
硫黄乗越を経ていよいよ西鎌尾根に入ります。左俣乗越から千丈乗越にかけてクサリ場が何度かあり、ドキドキしましたが落ち着いて無事通過できました。ヘルメット何年ぶりかに被る。
最後は地獄の急登を登ります。 槍ヶ岳は見えなくなりますが小屋のトイレだけ見えるので頑張って目指す!
10時半、ついに槍ヶ岳山荘に到着です。表銀座以来の5年振り。
槍ヶ岳山荘テント泊は、以前からロクスケさん念願でした。狭かったり斜めだったりするだろうな~こわいなこわいな~とあまり期待せず、受付でテントサイズを伝え、指定された場所に行ってみると・・・
槍がド正面の超当たりスポットでした。こんなご褒美は二度とあるまいよと設営を済ませ、山頂へアタック。槍ヶ岳は昇りと下りでルートが分けられているため、梯子が2つ並びになるところではお互いが視界に入ります。下りの梯子に居る男性が、まっすぐな定規と化して梯子に寄り添っているのが目に入る。それで下りられるのかしら?心配でつい見ていると目が合いニッコリしてくれた。私も思わずニッコリ。
予定ではこの後南岳方面へお散歩(4・5時間)するはずだったが、もうやる気がゼロになる。
下山後は、西鎌尾根で一緒になった方と外ベンチでお話しながら山荘のうどん、おはぎなどいただく。山荘の手作りパンも朝ごはん用に購入。日が暮れるまでは風もなく穏やかな天候
暗くなるころからガスが出てきて、一晩中風がテントを揺らし何度も目が覚める。20時頃だったか、通気孔からは満天の星が見えたが、テント場は静まりかえっていた。ていうか18時過ぎにはすでに静かだった。
強風世界からの脱出 恐怖の滝谷
最終日6日目、3時起床するも風強く小雨。予報では昼過ぎまで雨、以降は天気回復とのこと。5時過ぎ、強風と雨の中テントを撤収し下山開始。
最後にまた降られた!
槍平方面には笠ヶ岳側のテント場を抜ける。まだ9月とはいえ、標高3000m超での天候不良は寒くて手がかじかむ。2~300mほど一気に下ると雨風が弱まり一息つく。ガレ場を抜けて千丈乗越から槍平小屋へ。歩きやすい道が続く。
今日は週末土曜の朝、休憩する人々で賑わっている。なんか虫も多い。人と虫で賑わう小屋には何故かカップヌードルの自動販売機がある。ここから先、右俣沢から滝谷出合まで何度か渡渉があり、水量が多いときは通行不可になることも。
滝谷の渡渉は、それなりの流れの上に角材が2本並べてある。それを数m渡るわけですが、滑り止めとかナイよ☆、何度見てもただの角材が2本並んでいるんだなあ、と内心ちびりそうになりながら渡る。渡った先にある滝谷避難小屋は調べるとコワイ話もあったりするが、なるほどなるほど。ロクスケ調べではトイレもなるほどらしい。小屋はクライマーさんで混みあっていた。ツチノコは自覚なく避難小屋に心乱されていたのか、来た道を戻りそうになった。そういう時、ロクスケは深い穴のような暗い瞳で私を見る。
下山ととんかつ弁当と混浴温泉
旅も終わりに近づいてまいりました。道は林道になり、新穂高温泉手前にある穂高平小屋にさしかかる。例えるなら、不二子不二雄Fの漫画の主人公が子供時代にタイムスリップしたものの現代に戻れなくなる闇展開でお馴染みといった懐かしい田舎の家、の雰囲気です。
ロクスケ事前(直前)調べにより、小屋前から林道を外れてショートカットできるコースへ進む。これがまた滑りやすい道で、ツチノコ危うく滑落しかけたり石を落としたり(スミマセン。人が居なくてよかった)しながら、何とか新穂高温泉にたどり着く。林道で我々の前を歩いていた人が後から到着したので、確かにショートカットではあった。たしかに…(怒)
そしてなんとか無事に下山 無事に5泊6日が終わりました!
長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございます。2021年10月現在はコロナだいぶ落ち着いてきましたが、皆様も我々も無理せず怪我なく安全に登山を楽しめますよう。これにて黒部源流と裏銀座縦走レポートおわり。この後立ち寄った温泉&サウナがめっちゃ良かったですがまた今度。